ミュージカル『君よ知るや南の国』




12月10日、本日のお題は、ミュージカル『君よ知るや南の国』




アルバム単位で、真理さんの曲をご紹介する今回の企画、今、1975年7月1日発売のアルバム『君よ知るや南の国』について、ご紹介しています。



この真理さんの10枚目のアルバム君よ知るや南の国の表裏表紙と、収録の構成は次のようです。


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A面

1 オーヴァチュア
2 君よ知るや南の国
3 気が合う同志
4 ミニヨンの幻想
5 初めての涙
6 大人への憧れ


B面

1 恋のすれちがい
2 天使の約束
3 ナポリ・ナポリ
4 明日へのワルツ
5 君よ知るや南の国(フィナーレ)






『天地真理オン・ステージ』に別れを告げ、今回から天地真理さんのミュージカル『君よ知るや南の国』についてご紹介して参ります。

冒頭で、ミュージカル『君よ知るや南の国』と題しました。これは、このブログの記事がアルバム『君よ知るや南の国』に沿って進んで行くことに変わりはないのですが、このアルバムがスタジオ録音によるダイジェスト版であることから、実際の日本劇場での公演では、アルバムだけでは感じ取りえないさまざまな出来事が起こっていたであろうことを踏まえ、アルバムだけにとどまらない、様々な角度から、このミュージカル『君よ知るや南の国』全般をお伝えできたらいいな、という私の願望を込めました。



このミュージカル『君よ知るや南の国』は、1975年5月31日から6月24日まで、一日2回の公演を連続して行うという長丁場でした。この点、そしてこのミュージカル全般に関し、プレミアムボックスの中で中崎あゆむさんの解説は次のようです。

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ゲーテの「ウィルヘルム・マイスターの修行時代」を原作に、アンブロアズ・トーマが19世紀半ばに書いたオペラ「ミニヨン」をミュージカル化したものである。音楽を宮川泰が、作詞を安井かずみが担当、制作は東宝と渡辺プロダクションであった。

学生時代に声楽の基礎を積んでいた天地真理は、主役のミニヨンに扮し、体当たりの熱演で拍手喝采を浴びた。サーカスのシーンでは熊のぬいぐるみを着たり、ミニヨンの成長に合わせ、少年っぽい格好から、お姫様風のドレス、そして天使にまで扮装するなど、七変化の魅力を見せている。主な共演者として、相手役のウィルヘルムを峰岸徹が、ミニヨンを助ける不思議な老人・ロタリオを小山田宗徳をはじめ、あぜち守、沢木順、友竹正則、加茂さくら、神崎一人らが脇を固めた。
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一方、このアルバム『君よ知るや南の国』についてプレミアムボックスの解説では、

「このアルバムはレギュラーのオリジナルアルバムではなく、このミュージカルに出演したオリジナル・キャストによるスタジオ録音で凝縮したダイジェスト盤である。クラシック出身の天地真理らしく、ヒット曲とはひと味違う発声法や声色でオーケストラをバックに表現力豊かな歌を聴かせる。宮川泰の音楽も流麗で美しく、企画ものの一枚として片付けてしまうのは惜しい名盤である」と。




さてもう一方、これからこの記事をまとめて皆さんに天地真理さんの魅力をお伝えしようとしている私と言えば、このアルバム「君よ知るや南の国」のジャケットをを初めて目にした時の第一印象は「へー、真理さんって映画にも出演したようだし、ミュージカルもやったんだね」程度の感覚で、然したる感激もなく、逆に「俺、ミュージカルってあんまり好きじゃないし」などと、遠目で見るだけの存在でした。

それでも、このブログが始まり、いつの日にか、このアルバムにも触れる機会があるはずだし、興味がないだけでは済ませられないな、という思いから機会ある度に(通勤の途中でこのアルバムに順番が回ってくる時です)アルバムの中の11曲は順番に聴いてはおりました。しかしながら、聴けば聴くほど、真理さんのアルバムなのにどうして男性が歌っているんだろうとか、同じような曲目の羅列のように思えて「なーんだ、つまらないアルバム」という印象を持ちつつ、今日に至りました。

このブログの記事を書くに当たっては、プレミアムボックスに付属の中崎あゆむさん執筆の解説本を読み始めましたが、読み進むにつれて、ミュージカルのストーリーが見えてきて、どうして男性と思える人が歌っていたのか、そして、どうしてあのような同じ曲「君よ知るや南の国」が繰り返し、アルバムの中で歌われているのか、等々の疑問に対する答えが分かり始めました。

こんな状態ですので、出発点での私のこのアルバム、そしてこのミュージカルそのものに対する私の知識はゼロと言うよりは,ある意味マイナスであったのかもしれません。これからご紹介を進めて参るにしても、その辺の不備があるやもしれませんが、どうか暖かい目で見守っていただければ幸いです。そして、私のようにこのアルバム「君を知るや南の国」に対して全くの知識が無い状態で出発される方にとっても、この記事が良い意味での導入となり、天地真理さんの新たな魅力の発掘に繋がればと願っております。





さてさて、いつもながら長々と書いてしまっては、読み手にとっては退屈な時間であることは確かでしょうし、恐らく多数を占める中年以上の方々にとりましては、文字を読み取ることすら苦痛を感じる状況ではと心配しておりますが、ご迷惑のついでに、この1975年の前半において、真理さんが置かれていた状況を少しだけ考察してみたいと思います。今少しお付き合い下さい。

1975年3月をもって、いわゆる「真理ちゃんシリーズ」の最終作品「はばたけ!真理ちゃん」への出演を終えた真理さんは、余裕ができるようになった時間を利用して、同年2月から3月に掛けて、念願のヨーロッパ旅行に出かけました。その時の雑誌記事からの写真は次のようでした。

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ここでも元気一杯の真理さんの姿が拝見できます。写真の撮影地は、フランスのパリと、イギリスのロンドンだと思うのですが、背景について定かな照合が取れておりません。違っていたらご勘弁下さい。なお、この写真は marist さんのご好意によるものです。




このヨーロッパ旅行は、彼女にとって願ったり叶ったりの一生の思い出になったことでしょう。でも、この約2か月間の空白が、致命的な人気凋落をもたらしたと、中崎あゆむさんは指摘しています。それまで頻繁にテレビに登場していた天地真理が、2か月間テレビの画面から消える。これは、ファン間でさえも色々な想像を巡らすきっかけになったことは確かです。天地真理さんを巡るゴシップの嵐が始まったのもこの時期と伺っています。

ヨーロッパから帰った真理さんは、1975.4.7放送の「TBS・モーニングジャンボ奥様8時半」に出演されています。ミュージカル公演を採り上げたこの番組に出演して、新曲「愛のアルバム」を初めてご披露されます。その当時の映像(音声)が残っていましたので、お聴きいただきましょう。 amhikokigumo さんの作品です。






如何でしたでしょう? この映像をご覧いただいただけで、当時の天地真理さんの状況、公演をピンク色の幕で知らせる日劇の外観、共演者の素顔、共演者を気遣う真理さんの様子などが、手に取るように分かりますね。





さあ、これからミュージカル『君よ知るや南の国』の舞台の第一幕から順にご紹介を進めて参りますが、この記事も長丁場になりそうです。今回は、その前準備として1975年5月21日に、この舞台のために臨時発売されたという、天地真理さんの14枚目のシングル「初めての涙」のB面にある「君代知るや南の国」をご紹介したいと思います。

この曲は、プレミアムボックスのDISC8の13番目に収録されています。



原作:Johann Goethe
作曲:Charles Thomas
日本語詩:安井かずみ
編曲:宮川泰

君よ知るや 南の国
香る風に オレンジの花
夢に描く 南の国
みどり木陰 よりそうふたり
 わたしはそこで 倖せに出会う
 自由に飛ぶ 小鳥のように
 愛が呼び合う 南の国

君よ知るや 南の国
青い空よ 光あふれて
いつか行ける 南の国
白い雲に 手を振りながら
 わたしはきっと 倖せ見つける
 あなたを待つ 愛の窓辺に
 花を飾り 南の国

わたしは歌う 倖せを胸に
時は流れ 二人の愛
いついつまでも 南の国





この音源は、同じスタジオ録音ではありますので、勿論舞台で聴かせた張りのある声とは少々違っており、公演に先立って録音されただけあって、やや淡い印象の歌唱である(中崎あゆむ氏評価)となっています。今回は、Youtube から作品をお借りしてのご紹介です。romane7248 さんの作品からどうぞ。









お聴きいただき、如何でしたでしょう?

公演前とは言え、クラシックで鍛えた声量はさすがであるなと、私は思います。これが舞台ではそれ以上の大声量で張りのある声で歌われたのですから、その迫力は推して知るべしと言えるでしょう。






今回は、ミュージカル『君よ知るや南の国』をご紹介するための導入として、1975年前半の天地真理さんの状況や、このミュージカルの魅力について触れてみました。これから日を追ってご紹介する内容をご理解いただくための(自分の理解をまとめるためにも)必要な基礎事項だと思っております。


最後になりますが、歴史あるゲーテの作品「ミニヨン」を日本語訳した安井かずみさんの訳詩も、勿論すばらしいのですが、この世界で評価の高いのが、森鴎外と堀内敬三です。参考までに列挙させていただきますので、ご参照下さい。




君知るや南の国

レモンの木は花咲き くらき林の中に

こがね色したる柑子は枝もたわわに実り

青き晴れたる空より しづやかに風吹き

ミルテの木はしづかに ラウレルの木は高く

雲にそびえて立てる国や 彼方へ

君とともに ゆかまし

(森鴎外・訳)



君よ知るや 南の国

木々は実り 花は咲ける

風はのどけく 鳥はうたい

時をわかず 胡蝶舞い舞う

光みちて 恩寵(めぐみ)あふれ

春は尽きず 空は青き!

ああ 恋しき国へ

逃(のが)れかえる よすがもなし!

わが なつかしの故郷

望みみてる国

心あこがるる

わが故郷!

 (堀内敬三・訳)









さて、次回からはミュージカル「君を知るや南の国」の本題に入って参ります。これから年末に掛けて、この作品をご紹介し終えて、スリーピーの正月を迎えたいと思っております。皆さま、お付き合いのほど、よろしくお願い致します。






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真理さんのミュージカルは素晴らしい!

スリーピーさん こんばんは!

「君よ知るや南の国」この曲を初めて聴いた時、真理さんは本当に歌が上手いんだなー!と思ったのが第一印象でした。
真理さんがデビューした頃、私はアイドルの真理さんしか知りませんでした。
今まで真理さんの事を何にも知らなかった私でしたが、この曲を初めてYouTubeで聴いてビックリしたのが正直なところの感想でした。真理さんはこういう歌も歌っていたなんて素晴らしい!と思いました。
ブレミアムBOXを購入してからは何度も聴きました。
真理さんがデビューした当時よりも今の方が歌に聴き入っています。

Re: わたしの場合

tip さん、こんばんは。

そうですね、tip さんがお感じのように歌手・天地真理としての再評価が、このブログ、そしてこの「君よ知るや南の国」を詳しくご紹介する目的でもあります。その意味で、少しでも天地真理さんの歌唱を聴いて下さる方を増やして、少しでも考えを変えていただきたい、そんな願いがあります。

「天使の約束」は素晴らしいですね。是非、聴いていただきたいです。

わたしの場合

スリーピー殿 こんにちは 
私見です 私は真理ちゃんを思いだしてから 「歌手」としての「天地真理」に強く引かれ その歌声に「天地真理」の価値を感じ取っています 真理ちゃんを人気アイドルとして取るか 純に歌手と取るかでこのアルバムの聞こえ方は変化すると思います 
私はこのアルバムの中での真理ちゃんの歌声からコマーシャルな物とは対極的な「声」に惹かれます
いずれ紹介されるであろう「天使の約束」が代表的でしょうか
プロフィール

スリーピー

Author:スリーピー
真理さんを応援するブログへようこそ!

真理さんは、私の姉のよう。
私はそんな おっちょこちょいな姉を想う、おせっかいな弟かな。

このブログでは、皆さんと彼女の真価をお伝えして参ります。

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